選択肢。

私は自ら選んでここに生まれてきたわけではない。
どんな親か、どんな家庭か知らずにやってきた。
誰がそれを選択したのか。
「生まれ方」を自身が選択することはできなかった。


でも、「死に方」は選択できる、ということを
ある日知った。



自死とは、死を選びとること。
もちろん私はそんな心境になったことがないので、
どうのこうのとは分からない。
個人的な事柄なので誰が非難できるものではない、と思う。
生き辛い、苦痛からの解放だったかも知れない。
人の苦しみなど、誰にわかるものか、と思っている。
ただ、人はどのみち人生を全うするものだと、思う。


ALS(筋萎縮性側索硬化症)の51歳の女性が医師に安楽死を依頼し、
医師二人が実行し、嘱託殺人の容疑で逮捕されたというニュース。
筋肉の萎縮と筋力の低下をきたす神経変性疾患で有効な治療はまだ確立されていない難病と言われる。

ある日を境に生活は一転。
体を思うように動かせない、しかし頭はしっかり働いている。
その症状は日に日に進む。
治る見込みはほぼない。
生きる意味を考える人にとって人間としての尊厳も見出せず、
生きる、生き続けることに耐えられない。
わかる、どんだけ惨めだっただろう。
もう自分の手で命を絶つという選択肢さえないのだ。


このニュースに接して、
改めて決して自分に当てはまらない他人事とは言えない、と思った。
（もちろん、世の中で起こるすべての事が他人事ではないと思っているけれど）
私も彼女のように考えるようになるかもしれない、
うん、なるかもしれない。

家族でこういう事を話し合うのはなかなか難しい。
でも、自分自身の事として考えてもいいと思う。

そして、子ども達に話しておきたいと思う。
彼らが迷わないように、苦しまないように。
延命するとか、装置をつけるとか、または外すとか。


他方、高齢者の両親を抱える身として、
二人がそうなった時、どうするべきかも
考えておきたい。
けれど、これを今更二人に話すのは酷ですね？
やめとこ。