『グレープフルーツ・ジュース』  講談社文庫
オノ・ヨーコ 著
南風 椎 訳

手元にあるこの本をたまにめくってみる。
そして、空を見上げたくなる。

イマジン。
想像してごらん。
素晴らしい言葉だと思う。

コロナウイルスと共存できるようになる日を
想像してみよう。


p.6



第二次大戦中、田舎に疎開しているとき
だんだん食べるものがなくなってきました。
いつも活発な七歳の弟が、なんとなくしょげている顔を見て
私は胸が痛い思いでした。
「ねえ、何がたべたい?  いちばん食べたいものは何?」
弟はちょっと驚いたような顔をしました。
「おいしいお献立を考えましょうよ。
 私は豚汁とミートローフがほしいわ。
 それから、デザートはショートケーキ」
「ぼくは、アイスクリームの方がいいな」
「じゃあ、アイスクリームとショートケーキと両方にしましょうよ」
 少し元気をとりもどした弟は、早速このゲームに参加して
笑ながらおいしいものを次々とあげました。
「そんなに食べたら、おなかこわしちゃうわね」
「うん」
「なんだか、おなかがいっぱいになったような気がしない?」
弟はおどけて、でんぐり返しをしてみせました。
おなかがいっぱいで、もう大丈夫だというように。
私は今でも、そのときのことを時々思いだします。

 



「架空のメニュー」を
想像してみる。
素敵♫
















コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索