『グレープフルーツ・ジュース』 講談社文庫
2020年5月18日 本
オノ・ヨーコ 著
南風 椎 訳
手元にあるこの本をたまにめくってみる。
そして、空を見上げたくなる。
イマジン。
想像してごらん。
素晴らしい言葉だと思う。
コロナウイルスと共存できるようになる日を
想像してみよう。
「架空のメニュー」を
想像してみる。
素敵♫
南風 椎 訳
手元にあるこの本をたまにめくってみる。
そして、空を見上げたくなる。
イマジン。
想像してごらん。
素晴らしい言葉だと思う。
コロナウイルスと共存できるようになる日を
想像してみよう。
p.6
序
第二次大戦中、田舎に疎開しているとき
だんだん食べるものがなくなってきました。
いつも活発な七歳の弟が、なんとなくしょげている顔を見て
私は胸が痛い思いでした。
「ねえ、何がたべたい? いちばん食べたいものは何?」
弟はちょっと驚いたような顔をしました。
「おいしいお献立を考えましょうよ。
私は豚汁とミートローフがほしいわ。
それから、デザートはショートケーキ」
「ぼくは、アイスクリームの方がいいな」
「じゃあ、アイスクリームとショートケーキと両方にしましょうよ」
少し元気をとりもどした弟は、早速このゲームに参加して
笑ながらおいしいものを次々とあげました。
「そんなに食べたら、おなかこわしちゃうわね」
「うん」
「なんだか、おなかがいっぱいになったような気がしない?」
弟はおどけて、でんぐり返しをしてみせました。
おなかがいっぱいで、もう大丈夫だというように。
私は今でも、そのときのことを時々思いだします。
「架空のメニュー」を
想像してみる。
素敵♫
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