『存在の耐えられない軽さ』  ミラン・クンデラ
『存在の耐えられない軽さ』
ミラン・クンデラ著
千野栄一 訳

チェコの作家ミラン・クンデラの代表作『存在の耐えられない軽さ』を今更読んだ。

[ 永劫回帰という考えは秘密に包まれていて、ニーチェはその考えで、自分以外の哲学者を困惑させた。われわれがすでに一度経験したことが何もかももう一度繰り返され、そしてその繰り返しがさらに際限なく繰り返されるであろうと考えるなんて! いったいこの狂った神話は何をいおうとしているのであろうか?]
ん?

しかし、千野栄一氏による素晴らしい翻訳はあまりにも心地良く、この作品が世界的ベストセラーにであることに頷きながら、しかし永劫回帰への半端な理解のままで、読み進めた。

作家の思想、哲学を述べている思えばトマーシュとテレザの出会いやサビナとフランツのドラマが始まる。それぞれの存在のそして人生の重さと軽さ。
恋愛ドラマと存在、そして当然ながら当時の東ヨーロッパのおける共産主義とその崩壊。
読ませるわ〜。

[ そして、自分にいった。 知っていたか、知らなかったか? は根本の問題ではない。 知らないからその人が無罪? というなら、玉座にいるばかは、ばかであるがゆえに、あらゆる責任から解放されるのであろうか? ]

[ そしてふたたび、もうわれわれが知っている考えが彼をとらえる。人生はたった一度かぎりだ。それゆえわれわれはどの決断が正しかったか、どの決断が誤っていたかを確認することはけっしてできない。所与の状況でたったに一度しじゃ決断できない。いろいろな決断を比較するtsめの、第ニ、第三、第四の人生は与えられていないのである。
歴史も、個人の人生と似たようなものである。チェコ人の歴史はたった一度しかない。 ]


トマーシュ版の永劫回帰、
[ 宇宙にはすべての人がもう一度生まれてくる惑星がsる。その際、人びとは地球上で過ごした自分の人生、そこで得たあらゆる経験を十分に意識している。
そして、さらに次から次へと惑星があって、そきでは人類が一階級分( 一つの人生分) 成熟して生まれてくるのである。 ]


しかし、
私は「キッチュ」の意味をすっかり誤解していたことに気づきました。自分で使ったことは、たぶん一度もないのだけれど、まったくの誤解でした。


名作かつ名訳‼︎






コメント

なおっち
2018年3月29日21:31

名訳のキッチュって、どんな感じなのですか?
ごめんなさい。存在の耐えられない軽さは読んでいないのだけれども、ミュージカルエリザベートにキッチュが出てくるものだから、気になってしまいました。
ちなみにエリザベートに出てくるキッチュは。結構そのまんまの意味です。^_^;

hana
2018年3月31日1:24

なおっちさん^^

「キッチュ」の意味を私はいわゆる悪趣味や低俗な「物」 = 重さの無いもの、くらいに理解していました。

上手く説明できないのを承知で描きますが(笑)、この作品では「プラハの春」と呼ばれる当時のチェコスロバキアの政治改革に危機感を持ったソビエトの軍介入・弾圧が描かれていてこれもメインテーマの一つです。全体主義に象徴される、俗悪なもの = キッチュなモノなのかも知れません。
また、具体的なモノではなくて根拠のないイメージの中にある抽象化されたモノがキッチュなのかと、私は理解しました。それは読んでみると、ところどころにみることが出来ます。
言葉の支配はイメージの世界です、現実の世界と関係ない「愛」や「平和」という言葉を叫ぶことは、キッチュなモノでこれはありがちなこと!、所謂「そうでなければならない」みたいな…… ^_^;
あ!今、思いだしましたが「そうでなければならない」というフレーズ(” Es muss sein!” ベートーベンの言葉だそうですが) はこの本の中で幾度も出てきます。

あ〜、こんなの説明になってませんよね、申し訳ない…… 。

映画化もされていてDVDで観ようかなと思っています。その時にはまた感想でもアップしますね^^

なおっち
2018年3月31日11:41

hanaさん、ありがとうございました!
まだ私は存在の…、を読んでいないから完全ではないのかもしれませんが、おっしゃりたいことは、とても良く分かりました。(^ ^)

エリザベートに出てくるキッチュは、主には「まがいもの」「まぼろし」と言う意味だと解釈しています。
エリザベートとフランツヨーゼフが今で言う仮面夫婦みたいな関係でいることを、そう称していました。
ああ、自分の表現力と語彙力のなさがもどかしいですが、エリザベートとフランツは、仮面夫婦などという言葉で片付けられるような関係ではないのです。
もっともっと事情があるのですが、分かりやすくいうと仮面夫婦なのです…

なので、hanaさんの教えてくださった意味と自分の解釈を改めて考えたら、キッチュって日本語でよくありがちな言外の意味や奥深さが詰まっていてすごいなぁ、と思いました。
発祥はドイツ語らしいですが、他の言語でも使われているそうだし、今はファッション業界ではポジティブな意味で使われているらしいですね。
自分が知った最初の「キッチュ」で、イメージが全く違いますね。^ - ^

長々とあまり意味のないことをすみません。
hanaさんに教えていただいて考えたこと、楽しかったです!
是非また感想をお待ちしています。

hana
2018年4月1日14:38

なおっちさん^^

こちらこそ読んで再確認したり、語彙の意味を調べたり、という機会を与えて頂きうれしいです♡

ブログではこういう事も出来るんですね。楽しいです〜♫
これからもよろしくお願いします!

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索