原題は『Past Caring』ロバート・ゴダード著1986年作
邦題の『千尋の闇』幸田敦子訳を
「ちひろの闇」ではなく
「ちいろの闇」と読む理由は
巻末に訳者自身が説明している。

量的に読み応えは充分。
800頁以上あるので手に取るのを躊躇して半年以上積んであった。
しかし、読み始めると
今夜はここで、と思いつつもなかなか本を閉じることが出来なくて
夜更かし必至。

一九七七年の春、元歴史教師のマーチンは、悪友からの誘いに乗ってポルトガル領マデイラへ気晴らしの旅に出た。思えば、それが岐れ目だった。到着早々、友人の後援者である実業家に招かれた彼は、半世紀以上前に謎めいた失脚を遂げた、ある青年政治家にまつわる奇妙な逸話を聞かされることになったのだから…!稀代の語り部が二重底、三重底の構成で贈る、騙りに満ちた物語。


上巻では実際に存在した歴史上の人物が登場する。
元はといえば、1880年代から1912年のヨーロッパ列強によるアフリカ地植民地化に端を発した出来事なので、当時の英国の歴史や政治に興味があれば面白さが増すに違いない。

チャーチルやロイド・ジョージとともに若くして大臣に抜擢された新進政治家ストラフォードは、喜びも束の間理由もなく婚約者に去られ、閣僚の座を追われた。歴史の闇に立ちすくむ彼を思い、元教師のマーチンは、いにしえの謎に踏み入るが…?一編の回顧録を手がかりに、埋もれていた絶望が、悪意が、偽りが焙り出されていく。物語は、運命の転変が鮮やかに立ちあがる終幕へ。


下巻になれば先行きが見えてくるが、それから先が結構冗長。
もう少しちゃっちゃと話が運ばないものか?と感じるけれど、
原因は相変わらずの(笑)マーチンの手際の悪さ?

あれのコピーが存在することは充分考えらることだった。
私は真っ先に、マーチンがコピーしておけばいいのにと思っていたくらいだったから (真相を追う立場にあってコピーすることを思いつかないなんて!歴史を勉強してたのに?!!)驚きはしなかった。
エリザベスが最後に選んだ場所も、そしてマーチンにすべてを託したのも想定内だった。


で、残念ながら
最後の最後、
あのマーチンの心の動きには辟易した、
またですかぁ!?(笑)
何で男性ってあんな女に弱いんだ……
もう解りそうなもんなのに^^
懲りないヤツだなww
(ああいう女性の態度は同性から見ればその下心なんて即お見通し^^)


警察も探偵も出てこないこの作品を推理小説というのはどうなのだろう?




コメント

lister
2017年10月29日18:44

男って相当な大物でもハニートラップにひっかかったりと、
男は女性に関して学習できないのですよ。自戒を込めて。

hana
2017年10月31日3:15

listerさん^^

ホント!
多くの男性はそのようですね(笑)


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