『芥川症』 (新潮文庫)
2017年2月13日 本
「芥川賞」ではなくて『芥川症』です。
著者は久坂部羊(ようです。ヒツジではありません)
表紙裏の著者略歴には1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒。外科医、麻酔科医を経て、外務省に入省。在外公館にて医務官を務めた。2003(平成15)年、『廃用身』で作家デビュー。`14年、『悪医』で日本医療小説大賞を受賞。.....
ありゃ、1955年生まれだから未年だ。(羊だ! で、ようだ!)
収められているのは7篇( )は私が書き込みました^^
『病院の中』 (『藪の中』)
『他生門』 (『羅生門』)
『耳』 (『鼻』)
『クモの意図』 (『蜘蛛の糸』)
『極楽変』 (『地獄変』)
『バナナ粥』 (『芋粥』)
『或利口の一生』 (『或阿呆の一生』)
と、タイトルはこんな風だけれども、
作品自体はパロディになっているようでいないようで^^
どの作品もどこかで医療に関係ある内容になっていて
ところどころでついクスッとしてしまうのがいくつかありました。
どれも本家芥川の作品同様、短編で読み易いです。
『病院の中』、これはかなりパロディ風です。
父を病院で亡くした息子が、父親(享年60歳)の死因を内科部長、主任看護師、特殊救急部の若い医師、集中治療室の看護師、麻酔科医長、霊安室の宿直事務員、病理医に訊くが、それぞれに言う事が違う、まさに死因は「藪の中」です。
結局、死因は……、
p.51
「失礼なことをお聞きするようですが、医療ミスのようなことはなかったのですね」
「それはありません」
「最初に小腸の動脈に、血のかたまりが使った原因は、わからないのですか」
「それは……」
病理医は言葉を切って、ひとつ咳払いをし、気まずそうな上目づかいをした。
「お父様には、寿命のを決定する遺伝子に異常が見つかったのです。最近の研究でわかったことですが、人間には寿命をコントロールする遺伝子が存在します。これまで人は、病気や老衰によって死を迎えると考えられていましたが、そうではなく、DNAで身体の有効期限が決まっているのです。もちろん、事故や自殺の場合は別です。そういう突発事故が起こらないかぎり、人はDNAで決められた寿命まで生きます。寿命が尽きれば、がんや心筋梗塞など、命に関わる病気になって死を迎えるのです。すなわち、人は病気になるから死ぬのではなく、寿命がつきるから死ぬ病気になるということです。... ...」
「寿命がつきるから死ぬ病気になるということです」
なるほど! 説得力あるように思えますが????
以下 ↓
そして、『バナナ粥』もその寿命に関係ある老人介護を扱っていて、中年独身息子が独りで高齢の父親の世話をする話ですが、すっごく身につまされました。
誰も世話されたくてしてもらってるんじゃないし、誰も世話をしたくなくて愚痴ってるんじゃないんですよね。親子の複雑な心理^^
「寿命」はこれからの私にとってキーワードです。
著者は久坂部羊(ようです。ヒツジではありません)
表紙裏の著者略歴には1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒。外科医、麻酔科医を経て、外務省に入省。在外公館にて医務官を務めた。2003(平成15)年、『廃用身』で作家デビュー。`14年、『悪医』で日本医療小説大賞を受賞。.....
ありゃ、1955年生まれだから未年だ。(羊だ! で、ようだ!)
収められているのは7篇( )は私が書き込みました^^
『病院の中』 (『藪の中』)
『他生門』 (『羅生門』)
『耳』 (『鼻』)
『クモの意図』 (『蜘蛛の糸』)
『極楽変』 (『地獄変』)
『バナナ粥』 (『芋粥』)
『或利口の一生』 (『或阿呆の一生』)
と、タイトルはこんな風だけれども、
作品自体はパロディになっているようでいないようで^^
どの作品もどこかで医療に関係ある内容になっていて
ところどころでついクスッとしてしまうのがいくつかありました。
どれも本家芥川の作品同様、短編で読み易いです。
『病院の中』、これはかなりパロディ風です。
父を病院で亡くした息子が、父親(享年60歳)の死因を内科部長、主任看護師、特殊救急部の若い医師、集中治療室の看護師、麻酔科医長、霊安室の宿直事務員、病理医に訊くが、それぞれに言う事が違う、まさに死因は「藪の中」です。
結局、死因は……、
p.51
「失礼なことをお聞きするようですが、医療ミスのようなことはなかったのですね」
「それはありません」
「最初に小腸の動脈に、血のかたまりが使った原因は、わからないのですか」
「それは……」
病理医は言葉を切って、ひとつ咳払いをし、気まずそうな上目づかいをした。
「お父様には、寿命のを決定する遺伝子に異常が見つかったのです。最近の研究でわかったことですが、人間には寿命をコントロールする遺伝子が存在します。これまで人は、病気や老衰によって死を迎えると考えられていましたが、そうではなく、DNAで身体の有効期限が決まっているのです。もちろん、事故や自殺の場合は別です。そういう突発事故が起こらないかぎり、人はDNAで決められた寿命まで生きます。寿命が尽きれば、がんや心筋梗塞など、命に関わる病気になって死を迎えるのです。すなわち、人は病気になるから死ぬのではなく、寿命がつきるから死ぬ病気になるということです。... ...」
「寿命がつきるから死ぬ病気になるということです」
なるほど! 説得力あるように思えますが????
以下 ↓
そして、『バナナ粥』もその寿命に関係ある老人介護を扱っていて、中年独身息子が独りで高齢の父親の世話をする話ですが、すっごく身につまされました。
誰も世話されたくてしてもらってるんじゃないし、誰も世話をしたくなくて愚痴ってるんじゃないんですよね。親子の複雑な心理^^
「寿命」はこれからの私にとってキーワードです。
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