台所

築○○十年の我が家は今時の対面式キッチンではなくて
旧式のL字型です。

何を言いたいかというと、対面式ではないから
調理中、私の顔は誰にも見えないということです。



トントントンと葱を刻んだり
絹さやの筋をちまちま取ったり
ジャージャー水を流して食器を洗ったりしている時は
刻み方とか洗い方を別段気に留めなくても
もう勝手に手が動くから仕事は進みます。

そんな時、頭は手とは違うことを思ったり考えたりするのです。
こういうこと、しょちゅうです。

だから、葱を刻み続けていても一向に飽きないし
洗い物もどちらかというと好きな仕事です。
単純作業が好きなんです。



もちろん、最初はそんなことを考えるつもりもないのに
殆どの場合、浮かんでくるのは過去のシーンなのは不思議です。
未来のこと想いを馳せることは滅多にありません。

それも、過去の楽しかったシーンじゃなくて
あの時はこうすれば良かったのにどうしてあんな風に言ってしまったのだろう、
とか
あの時はあんなこと言ったけれど本当に言いたかったことはそうじゃなくて、
あの言い方では誤解を招いたんじゃないだろうか
とか。

あの時は黙っていたけれど私にだって言いたいことあったわ、
とか
何であんな言い方されなきゃいけないのよと悪態をついたり
とか。



楽しかったり、うれしかったりという場面が
不思議と思い浮かばなくて
後悔や辛い思いばかりがふつふつと増殖するのだけれど
何だかもうひとりの自分と対面できる気がするのです。

片方の自分が悔やんでいると
もう一方の自分が慰めたり
片方が憤慨していると
もう一方が、でもね…と執り成してくれたり。



それでちゃんと自己完結できる不思議!!


今日、キャベツを刻みながら思いましたが
あなたはそんなことないですか？