『横道世之介』
映画を観たいと思った動機は
その題名にある「世之介」という名前です。
井原西鶴の『好色一代男』の主人公の世之介
映画では横道世之介をあの高良健吾が演じていたようです。
それにしても『書店員ミチルの身の上話』のタケイのイメージと
この作品の世之介はぜんぜん重ならないのだけれど、
それもちょっと楽しみなところ!
と期待していたのだけれど。

しかし、どお算段しても映画館に行く時間は見つかりそうもないので
図書館で文庫本を借りました。
わ~、久々の小説~~
あっという間に読了。

読み終えてから知ったのですが
著者吉田修一はあの『悪人』の作者だったのですね。
これは映画でしか観ていませんが
ソレとコレもぜんぜんクロスするようなものではありません。

ストーリーは1980年代終わり、ちょうどバブル期の真っ最中
季節は四月、東京の私立大学に入学するために長崎から上京してきた
世之介が新宿に現れたところから始まります。

初めての独り暮らし、
18歳の若者なら
誰かと知り合うきっかけのエピソードも
確かによくある話で誰もが経験するようなことだし
サークルの勧誘や、そのサークルの先輩に紹介されて始めるアルバイトや
自動車学校に免許を取りにいく件、そこで女の子と知り合うことやら
どれもこれも、普通の大学生世之介にぴったりの設定だと思いました。
ああ、こんなのあるある
こういう人っていたよね
あの時代ですから私にとっては懐かしい言葉がいくつも出てきました。


新宿といえばアルタだし、
マイシティは今のルミネエスト
デートの時の情報雑誌は ポパイやブルータス
待ち合わせ場所はアマンド前で
たまにルノアールに行くとコーヒーの値段にびっくりしたり
長崎に帰省する時にスカイメイトは必須だし
実家近くの海岸で夜のデートを楽しんでいると
ベトナム難民ボートピープルに遭遇するし
この時代はまだ携帯電話は普及していなくて
何かの度に世之介は硬貨を握り締めて公衆電話に走ります。
今のように就職難など考える隙もなかっただろうし
たぶんあの頃は今みたいな時代が来るとは想像もしなかったのではないでしょうか。

そんな時代の
まったくもって普通で
気が弱いのかずうずうしいのかその辺がはっきりしないくらいの
大学生世之介の入学からの一年間の物語です。

世之介と関わった登場人物の、その当時と十数年後が
スクランブルしながら描かれる場面もありますが
(そそっかしい私は、最初のその場面でてっきり世之介が阿久津唯と夫婦になっているものと勘違いしてしまってました)
前半から中盤までは本当に何度も思わず
くすくす笑ったりたまにじ~んとしてしんみりしたり(世之介と祥子ちゃんの場面だけれど。祥子ちゃん可愛い過ぎです^^)、
と思えば独りで大爆笑したり(世之介と他の登場人物とのやり取りがとても面白いんです)。

でも、中盤であることに気がつくと
なんとも切ない想いを抱えながら読み進めることになりますが
想像していた場面は現れず。

小説の構成が上手いな、と思いました。
一年間で、世之介はそんなに変化しなかったけれど
彼に関わった人たちの十数年後は――。
終わってみればちゃんと最初と最後に繋がるようになっているのだから。


私の中の世之介はやっぱりカッコいいそして可愛い男の子です。
それが高良健吾でなくても^^
ちなみに祥子役は吉高由里子^^


機会を作ってDVDを観なければ。






コメント

アミ
2013年3月30日5:32

私も見てみたいです!
以前、何かの映画で、吉高由里子嬢を見ましたが、彼女の演技(地・・・?)、相当なものでした。
エクボが可愛いかった!

バブルの頃は、いろいろな意味で懐かしい!(笑)

hana
2013年3月31日1:07

アミさん^^

祥子役の彼女はこの映画でたぶん高感度アップしたのではないかと思います。ホントに素敵な祥子ちゃんなんです^^

バブルといえば、異常な土地の高騰を思い出します。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索