イギリス映画『The Remains of The Day』
邦題『日の名残り』
今ではイギリス人作家のカズオ・イシグロが書いた
同名の小説の映画化です。
小説でブッカー賞を獲得、
映画ではアカデミー賞にノミネートされています。
映画を観るにあたって
小説を読みましたが
今回はどちらも良かったです。
第一次大戦から二次世界大戦の間の
英国貴族に仕えた執事の回想です。
この映画の見所は
ある貴族の屋敷での出来事の一つ一つが
当時のイギリス階級制度における貴族の役割を
移りゆく大英帝国の姿の中で意味を持って語られているということです。
よく観ると、ディテールの持つ意味が面白いくらいに
次々分かって、その度に
あ〜なるほど〜、と納得したり、感心したりの連続でした。
『品格』とは?
働くことは品格あることではないのかも知れない
品格を重んじる人はお金のためには働かないのかも知れない。
そういう意味で、貴族は働かないから品格を保てる、ということになるのでしょう。
当時の貴族階級の特権を知ると
まぁ、イギリスで革命が起きなかったことが不思議に思えてきますが。
そうね、産業革命でも新たな中産階級が生まれたくらいですもの。
中産階級ができたから革命が起こらなかったのかな?とかとか…
どんな時代も、人は自分の役割を果たす
役割を演じる使命を背負っているのです。
貴族は貴族の(貴族の中でもさらに階級が分かれているし)
執事は執事の(執事の中でも細かく階級が分かれているのです)。
そして、誰もが自己肯定したい。
第一次大戦後のイギリスがかなりドイツよりに傾倒していたことは
知られているところですが
この映画の随所にそういう場面がありそれも興味深かったです。
そして、
イギリスやフランスの第一次大戦処理に批判的だったアメリカが描かれていますが
もちろんすべてフィクションです。
日本生まれで5歳の時にイギリスに渡り
28歳で帰化したカズオ・イシグロ。
彼は日本人ではなくてもうイギリス人だけれど
本人の生まれる何年も前のイギリスの歴史を
こんな風な作品にするなんて、
彼がどんな想いでこの作品を書いたのか?
と興味も湧きます。
去年だったかな?
彼の作品の映画化『私をはなさないで』を観ましたが
それとは内容も趣もぜんぜん違います。
ただ、共通している一点は
明るさ、という言葉が見つかりません。
邦題『日の名残り』
今ではイギリス人作家のカズオ・イシグロが書いた
同名の小説の映画化です。
小説でブッカー賞を獲得、
映画ではアカデミー賞にノミネートされています。
映画を観るにあたって
小説を読みましたが
今回はどちらも良かったです。
第一次大戦から二次世界大戦の間の
英国貴族に仕えた執事の回想です。
この映画の見所は
ある貴族の屋敷での出来事の一つ一つが
当時のイギリス階級制度における貴族の役割を
移りゆく大英帝国の姿の中で意味を持って語られているということです。
よく観ると、ディテールの持つ意味が面白いくらいに
次々分かって、その度に
あ〜なるほど〜、と納得したり、感心したりの連続でした。
『品格』とは?
働くことは品格あることではないのかも知れない
品格を重んじる人はお金のためには働かないのかも知れない。
そういう意味で、貴族は働かないから品格を保てる、ということになるのでしょう。
当時の貴族階級の特権を知ると
まぁ、イギリスで革命が起きなかったことが不思議に思えてきますが。
そうね、産業革命でも新たな中産階級が生まれたくらいですもの。
中産階級ができたから革命が起こらなかったのかな?とかとか…
どんな時代も、人は自分の役割を果たす
役割を演じる使命を背負っているのです。
貴族は貴族の(貴族の中でもさらに階級が分かれているし)
執事は執事の(執事の中でも細かく階級が分かれているのです)。
そして、誰もが自己肯定したい。
第一次大戦後のイギリスがかなりドイツよりに傾倒していたことは
知られているところですが
この映画の随所にそういう場面がありそれも興味深かったです。
そして、
イギリスやフランスの第一次大戦処理に批判的だったアメリカが描かれていますが
もちろんすべてフィクションです。
日本生まれで5歳の時にイギリスに渡り
28歳で帰化したカズオ・イシグロ。
彼は日本人ではなくてもうイギリス人だけれど
本人の生まれる何年も前のイギリスの歴史を
こんな風な作品にするなんて、
彼がどんな想いでこの作品を書いたのか?
と興味も湧きます。
去年だったかな?
彼の作品の映画化『私をはなさないで』を観ましたが
それとは内容も趣もぜんぜん違います。
ただ、共通している一点は
明るさ、という言葉が見つかりません。
コメント
映画への思い入れが次から次へと伝わってくるようです。
ただ、面白いとか美しいとか恋とか愛だけではなくて色んな知識を持って貴族社会や階級制度もそんな風に観ると何だかすごく得した気分になりますね。
貴族社会へのhanaさんの分析も興味深いです。
ベジタリアンのことも初めて知りました。
こちらにもコメントをありがとうございます。
映画ひとつ観るにもグダグダと理屈っぽくなると、
誰もつき合ってくれないので(笑)
ひとり寂しく観るしかありませんね(涙)
誤解のないように説明を加えますが、貴族はお金のために働かなかっただけで
ちゃんと義務を果たしていました。戦争に行くという義務もあったようです。
そう言えば、今のイギリスの王子もアフガニスタンだったかな?任務に就かれていたことを思い出しますよね。
この映画は、もちろんフィクションなので真実は別として
当時のイギリスの見方の一つを知ったようで興味深いものがありました。
近々、蘊蓄をたれてきます(笑 )
タイトルだけで印象に残ります。黄昏色は貴族社会のイメージです。
内容が史実に一致しているかどうかは疑問だけれど、彼が英国のそれもあの時代のことを書いたというのがすごいですよね。
明るさは英国の気候のせいかも知れないし、オトナっぽいという意味では
さすが!bitterという表現がぴったりかも^^
外国作品は仕方なく翻訳ものを読むことになるので、題名にしろ内容にしろ翻訳者の力に大きく左右されると思います。詩などはもう翻訳ではなくて創作ですものね。
だから、今だのノーベル文学賞がどのようにして決められるの不思議!
ひねくれ者だから政治的な匂いを感じて仕方ないです(笑)